日本で唯一の「工芸科学」を研究対象とする大学院として、「工芸科学研究科」が目指すのは、まさに科学技術と人間とがより良く結びついた「人間的な科学技術」の探求です。新たな高度技術の開発とともに、新しい技術と人間?社会との関わりを含めた総合的な教育研究を行うことが本研究科の特徴です。
教育研究上の目的(育成する人材像)(PDF:150KB)
21世紀はライフサイエンスの時代と言われています。高齢化、ストレスなどにより増えた癌、脳疾病、アレルギーといった病気の解明。地球環境保全の観点からも、バイオエネルギーの開発、化学物質に依存しない生物農薬、安全な食品の開発などが課題になっています。このような背景のもと、応用生物学域ではこれらの課題を解決できる知識、技能、判断力を備えた高度技術者?研究者を育成します。
今日、汎用の身近な物質や材料から最先端科学を支える物質や材料、エネルギーの生産?貯蔵?輸送を担う物質や材料、環境に優しい物質や材料、さらには生体分子など生命とつながりをもつ物質や材料の革新が、物質科学、材料科学さらには生命科学の発展に必要不可欠なものとなっています。そして、それらの科学領域が相互に結びついて、私たちの社会生活を支えるナノテクノロジー、インフォメーションテクノロジー、バイオテクノロジー、環境テクノロジーが発展しています。このような背景の下、本学域では、先端の科学技術や物質?材料について広い視野をもち、次世代の物質?材料の探究?開発ができる人材の育成を目指します。
工学は、数学や物理学、化学、生物学などの基礎理論や自然原理の理解をもとに、社会に役立つ事物や安全で快適な環境を設計し構築することを目的とする学問です。グローバル化と都市化が進み、資源やエネルギーの問題、地球温暖化、超高齢化社会などの課題が顕在化しています。工学はこれらの課題解決のためにその重要性を増しています。社会に役立つ事物や安全で快適な環境を企画?設計するためには、課題を発見し目的を明確にする必要があります。要求されている事項を理解せずには前に進めません。実際に事物や環境を構築するには、どんな方法が使えるかを知ることや、原理的な限界を理解しておくことが重要です。さらにその方法が最善のものか、むやみに複雑化していない自然な方策であるかという問いかけを自らに課さなければなりません。そのためには様々なことを学び理解し、その知識を駆使して総合的に判断する能力を身につけなければなりません。設計工学域では事物や環境を構築するための具体的な手法を修得し、有用さや安全性、快適さの視点で総合的な判断ができる技能をもつ高度専門技術者を育成します。
学部と大学院のカリキュラムは一貫して、社会課題に対するデザインによる解決、つまり、プロジェクト?ベースド?ラーニング PBLが基礎となっており、大学院(博士前期課程?博士後期課程)ではより専門性を高めつつ高度な実践力を身につける建築学専攻とデザイン学専攻により構成されています。2018年度のデザイン経営工学課程?専攻との統合化によって、教育?研究プログラムのより広い展開と内容の充実化が成されています。
現在繊維は、衣料分野はもとより、医療、繊維複合材料として建築、航空機さらに環境に配慮した材料など、広範囲な産業分野で使われています。繊維学域では、繊維に関係する産業分野での応用展開および新規開拓に関する教育?研究を進めるために、東アジア地域の連携大学との学生主体のシンポジウムや海外から教員を招いての講義も行い、繊維を中心とした広範な学術分野を総合的に理解できる人材養成をめざしています。