応用生物学系 半場祐子 教授らのグループは、京都市での18年間のモニタリング調査から、大気汚染が大幅に改善し街路樹の光合成が高まったことなどを明らかにしました

 応用生物学系 半場祐子 教授らのグループは、2005年から2023年までの京都市での調査により、大気汚染の大幅な改善が、街路樹の光合成を高めたことを明らかにしました。2020-2023年と2005-2008年とを比べると、この15年間で大気汚染物質である二酸化窒素濃度は60%も低下し、街路樹であるツツジやサクラの光合成は25%増加しています。京都市でこの15年間に大気中の二酸化窒素濃度が低下したのは、自動車NOx法注1)の制定や改正によるトラックの環境性能改善による効果が大きく、地道な大気汚染対策の取り組みは、人の健康だけでなく、街路樹にも良い効果を与えることを示しています。
 一方、2020年?2023年のコロナの流行は経済活動の停滞から交通量の減少を引き起こしましたが、その間の二酸化窒素濃度の低下は5%程度に過ぎず、街路樹の光合成を改善することはありませんでした。コロナ流行によって世界各地の都市の大気汚染が改善されたことが報告されていますが、日本においてはすでに大気汚染が改善されていたこともあり、街路樹の光合成を改善するほどの影響はなかったと考えられます。

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本研究成果は、2025年1月9日に学術雑誌「Scientific Reports」(外部リンク)にオンライン掲載されました。

<用語解説>
注1)自動車NOx法
正確には、自動車NOx?PM法。自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法。

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