威廉希尔官网 西中浩之 教授、鐘ケ江一孝 助教らの研究チームは、超ワイドバンドギャップ半導体ルチル型GeO2による縦型ショットキーバリアダイオードの開発に成功しました

 威廉希尔官网 鐘ケ江一孝 助教、日本学術振興会特別研究員(PD) 島添和樹(現名古屋工業大学工学専攻電気電子プログラム助教)、博士前期課程学生 清家一朗さん、威廉希尔官网 西中浩之 教授の研究チームは、超ワイドバンドギャップ半導体である「ルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)」※1を用いた縦型ショットキーバリアダイオード(SBD)※2の開発に世界で初めて成功しました。
 このr-GeO2は約4.6 eVと非常に大きなバンドギャップを持ち、n型ドーピング制御が実証されており、p型ドーピング制御も理論予測からその可能性が示唆されており、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)に続く次々世代パワーデバイス半導体材料として有望視されています。研究チームは独自のミスト化学気相成長法※3とn型ドーパントとしてアンチモン(Sb)をドープした傾斜GexSn1?xO2バッファ層上に、高品質な単相r-GeO2エピタキシャル層を形成しました。このr-GeO2エピタキシャル層を用いて、理想に近いダイオード特性(理想因子※4 n=1.14)と低オン抵抗(9 mΩ?cm2)を有する縦型ショットキーバリアダイオードの作製に成功しました。
 この成果は、電気自動車や再生可能エネルギーシステムなどで必要とされる高効率電力変換素子の新たな選択肢を提供するものであり、超省エネ社会の実現に貢献する可能性をもっています。

試作したルチル型GeO2 縦型SBDの電気的特性評価の様子

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この研究成果は、2025年3月21日に、科学学術雑誌「Applied Physics Express」(外部リンク)に掲載されました。

(用語解説)
※1 ルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO?)
二酸化ゲルマニウム(GeO?)の結晶多形の一つ。ルチル型構造を持ち、4.64 eVの超ワイドバンドギャップ半導体として機能する。

※2 ショットキーバリアダイオード(SBD)
金属と半導体の接合により形成されるダイオード。pn接合ダイオードに比べて順方向電圧降下が小さく、高速動作が可能なため、パワーエレクトロニクスでの応用が期待されている。

※3 ミスト化学気相成長法(ミストCVD)
原料溶液を超音波によって霧状にし、キャリアガスで反応室に運び、加熱された基板上で化学反応させて薄膜を形成する方法。安全で環境負荷が低く、大面積成長が可能な特長を持つ。

※4 理想因子
ダイオードの電流-電圧特性の理想性を表す指標。SBDの場合、理想因子が1に近いほど、急峻な電流の立ち上がりを有する理想的なダイオード特性を示す。

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