機械工学系 山川勝史 教授が国立研究開発法人新エネルギー?産業技術総合開発機構の先導研究プログラムの課題「空飛ぶクルマ向け安全飛行技術の研究開発」に採択されました

 本学が代表機関となり、空飛ぶクルマの国内外の世界的トップランナーに素材提供を行っている東レ株式会社と連名で提案した研究開発(テーマ名「デジタルフライングカーによる緊急時機体評価システムの構築」)が、国立研究開発法人新エネルギー?産業技術総合開発機構(NEDO)の2024年度「NEDO先導研究プログラム」公募研究開発課題である「空飛ぶクルマ向け安全飛行技術の研究開発」に採択されました。(2024年5月24日公表)

発表の内容

 本学では、2022年度「NEDO先導研究プログラム」(※1)に大学単独で提案し採択された「空飛ぶクルマの高精度飛行予測技術開発」の研究開発を進めてきました。この研究成果である空飛ぶクルマ流体物体連成シミュレーションによる仮想実験環境「デジタルフライングカー」(※2)を基盤技術として、さらに研究を深化させるため、実機での実験が困難な墜落を含む緊急時の機体挙動を評価できるシステムの開発を東レ株式会社と連名で2024年度公募に提案しました。
 空飛ぶクルマは、今後の世界において爆発的な市場拡大が確実視されており、我が国においても人や物の移動の迅速性と利便性を向上させるとともに、新たな産業を育成し、世界の市場で稼げるようにするため、官民挙げての取組が進められております。(「空の移動革命に向けた官民協議会」(※3)
 今回の採択を受けて、今後、NEDOとの正式な研究開発委託契約の締結を経て、最大2億円規模の研究開発を最長2026年度までの間で実施する予定です。具体的には、風洞装置を用いた大規模実機試験によりシミュレーション精度を実用レベルまで向上させ、絶対安全な環境下での機体落下に加えてパラシュート降下などを評価可能なシステムの構築を目指します。

今後の展開

 将来的には、NEDOの設定した政策目的でもある安全飛行技術を国際標準化し、日本発の技術を国内外の空飛ぶクルマ機体メーカーに広く供給することで、空飛ぶクルマのサプライチェーンに食い込み、我が国の産業力を強化するという取組に貢献できるよう、東レ株式会社と共に先導的役割を果たして参ります。

 

用語解説

※1 NEDO先導研究プログラム:国立研究開発法人新エネルギー?産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発委託事業で、(1)新技術先導研究プログラムと(2)未踏チャレンジで構成されます。今回、脱炭素社会の実現や新産業の創出に向けて、2040年以降(先導研究開始から15年以上先)の実用化?社会実装を見据えた革新的な技術シーズを発掘?育成し、国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につなげていくことを目的として、先導研究を実施する(1)新技術先導研究プログラムに採択されました。
(制度上の上限である研究規模、総額2億円以内、研究期間3年度以内の研究開発計画を提案致しました。)
 https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100100.html

※2 デジタルフライングカー:本学の研究開発責任者である機械工学系 山川勝史教授が提唱し、発案した飛行体用コンピューターシミュレーションによる仮想実験環境技術の名称。空飛ぶクルマでは、人命の絶対安全が確保されるべきですが、事実上、実機での実験が困難なため、飛行体用コンピューターシミュレーション技術により墜落を含む緊急時の機体挙動についても評価できるシステムとして研究を進めています。
?基本となる特許技術 2018/9/26出願 特願2018-180910 登録番号 特許7141696「飛行制御支援装置および飛行制御支援方法」
?商標登録 国立大学法人京都工芸繊維大学 2023年6月商標登録済

※3 空の移動革命に向けた官民協議会:いわゆる“空飛ぶクルマ”の実現に向けて、世界的にも関心の高まりがみられ取組が進められる中、日本においても人や物の移動の迅速性と利便性を向上させるとともに、新たな産業を育成し、世界の市場で稼げるようにするため、官民の関係者が一堂に会する「空の移動革命に向けた官民協議会」が設立されました(2018年8月)。事務は、経済産業省製造産業局及び国土交通省航空局が行うこととなっております。
(経済産業省HP)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/index.html
(国土交通省HP)https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku02_hh_000119.html